力学編 第10章

剛体の座標・速度

剛体の運動を計算するため、運動方程式を導きたい。その前段階として、この章では「剛体の配置」(位置と姿勢)の定量化を行う。「剛体の配置」を決めるのは、剛体上の1点の位置 𝒙0 と回転行列 𝑅 (式(13))である。 𝑅 に対する自由な「座標」には自然なものが存在しないが、自由な「速度」には、最も自然なもの、即ち、角速度ベクトル 𝝎 (式(19))が存在する。

「回転するこま」や「床を転がるボール」といった、剛体の運動を求めたい。剛体と質点剛体とは、大きさを持っており、かつ、変形が無視できる物体のことである。前章までは、質点(=大きさを無視できる物体)を主に扱ってきたが、その理解をもとに、大きさを持つ現実的な物体へと議論を進めていくわけである。

剛体の運動方程式(1)は成分が多すぎる → 自由な座標を考える

剛体の運動を求めるため、「剛体の運動方程式」を導きたい。

剛体を「質点の集合」とみなして運動方程式を立てる:式(1)

まず、剛体を「無数の質点(=質点要素)の集合」とみなせば、前章までの質点の理論が援用できそうである。全ての質点要素の運動方程式を書き下して、それらの運動を計算すれば、剛体の運動も求まるというわけである。質点要素 𝒙𝑖 ( 𝑖 は質点要素を区別するラベル)に対する運動方程式は、これまで同様、外力 𝒇𝑖 と拘束力 𝒇c𝑖 を用いて以下の形になる: ⎡⎢ ⎢⎣𝑚1𝑚2⋱⎤⎥ ⎥⎦⏟___⏟___⏟𝑀⁢⎡⎢ ⎢⎣¨𝒙1¨𝒙2⋮⎤⎥ ⎥⎦⏟¨𝑿=⎡⎢ ⎢⎣𝒇1𝒇2⋮⎤⎥ ⎥⎦⏟𝑭+⎡⎢ ⎢⎣𝒇c1𝒇c2⋮⎤⎥ ⎥⎦⏟𝑭c(1) 外力 𝑭 は重力などの既知の力である。 𝑭c は、「剛体であるための拘束条件」に由来する拘束力である。運動方程式を確定させるには、未知の量である拘束力 𝑭c を決めればよい。

拘束力 𝑭c を決めるには拘束条件を書き下せばよい:式(2)

質点要素 𝒙𝑖 に課せられる拘束条件は、「物体が変形しない」、即ち、「全ての質点要素間の距離が一定」である: 𝐺𝑖⁢𝑗≡|𝒙𝑖−𝒙𝑗|=const.(2) これにより拘束力 𝑭c が求まるので、運動方程式(1)が確定する(第8章の【8.2-注4】)。よって、全ての質点要素の時間発展 𝒙𝑖⁡(𝑡) を、少なくとも原理的には、計算することができる。第12章で扱うが、剛体自体にも拘束がかかっている場合には、それも拘束条件に加える必要がある。

変数が多すぎる → 変数を減らしたい

しかしこのままだと、無数にある質点要素の全てについて時間発展を追う必要があり、式(1)を直接解くのは、現実的には難しそうである。よって、変数の数をなるべく減らしたい。剛体を構成する質点要素 𝒙𝑖 は非常に多いが、一方で、拘束条件 𝐺𝑖⁢𝑗 の数も膨大である。そのため、独立な成分の数(=自由度)は少なくなっていると期待できる。第9章で扱った「運動方程式の変数変換」の議論を使えば、運動方程式を簡単に出来そうである。直感的に分かるように、無数の質点要素があると言っても、実際には数個のの質点要素の位置を決めてしまえば、剛体の配置(=その他の全ての質点要素の位置)は、拘束条件(2)から自動的に決まるだろう。よって、これらの十分小さな自由度に対する運動方程式を導けばよさそうである。

この章の方針

以上を踏まえてこの章では、剛体の配置を決めるのに必要な量、即ち、剛体の「座標」を導く。また、運動方程式を求めるには、剛体の「座標」の微分である、剛体の「速度」も必要になるので、その議論も行う:10.1剛体の「座標」10.2剛体の「速度」10.3参考回転の自由な座標最終的な目的は、運動方程式(1)の自由度を減らして、数値計算可能な運動方程式を得ることである。この章ではそのための前段階として、剛体の座標と速度を導く。実際の運動方程式の導出については、次の第11章で行う。

10.1剛体の「座標」

冒頭で述べた通り、剛体の配置(=位置・姿勢)を一意的に指定するためには、「剛体上のいくつかの基準点」の位置を与えてやれば十分だろう。この節では、その考えに従って、全ての質点要素の位置を決めるのに必要な変数を求める。

10.1.1基準点を選択する

まず、剛体の配置を決めるのに必要な基準点を決めよう。方針は、「基準点と拘束条件(2)を連立することで、残りの質点要素の位置が確定する」とすればよい。

最初の基準点 𝒙0

最初の基準点として、剛体上の任意の1点 𝒙0(3) に着目する。 𝒙0 は剛体を動かすことにより任意の値を取り得るので、拘束は受けない。なお、 𝒙0 は剛体とともに動いていればよく、文字通り剛体上にある必要はない。例えばドーナツ型の剛体の場合、ドーナツの中心を 𝒙0 にとってもよい。

拘束条件(2)を 𝒙0 からの相対座標で表す:式(4)

1つの基準点 𝒙0 だけでは、剛体の大まかな位置しか決まらず、剛体の姿勢までは特定できない。全ての質点要素の位置を決定するためには、基準点をさらに追加する必要がある。拘束条件(2)を参照することになるので、 𝒙0 を基準にした相対座標 𝒙𝑖⁢0≡𝒙𝑖−𝒙0 (右図)を使って書き直しておくのがよい。実際に計算すると、拘束条件(2)は以下のようになる:(導出は以下の【10.1-注2】) 𝒙T𝑗⁢0⁢𝒙𝑇𝑖⁢0=const.(4)

基準点を追加する:式(6)

この拘束条件(4)は、「 𝒙T𝑗⁢0 を係数とし、 𝒙𝑖⁢0 を未知数とする1次方程式」とみなせる。実際、 𝑗=1,2,3 と変えて得られる3つの式を連立したもの: ⎡⎢ ⎢ ⎢⎣𝒙T10𝒙T20𝒙T30⎤⎥ ⎥ ⎥⎦⁢𝒙𝑖⁢0=const.(5) を解くことで、 𝒙𝑖⁢0 が決まる。よって、 𝒙10,𝒙20,𝒙30(6) さえ分かれば、全ての 𝒙𝑖⁢0 が確定する。まとめると、式(3), (6)を与えれば、剛体の配置が確定するわけである。なお、式(5)が 𝒙𝑖⁢0 について解けるためには、 3×3 行列 [⋯] が逆行列を持つ必要があるので、式(6)のベクトルは1次独立にとっておく。

【10.1-注1】 𝒙0 を基準にした場合の拘束条件:式(7)

剛体上の任意の点 𝒙0 を取った時、拘束条件(2)は以下のように書ける:( 𝑖=𝑗 も含む) 𝒙T𝑖⁢0⁢𝒙𝑇𝑗⁢0=const.(7) ただし、 𝒙𝑖⁢0 は、 𝒙0 を基準にした相対座標である:( 𝒙0 が始点で 𝒙𝑖 が終点になるベクトル) 𝒙𝑖⁢0≡𝒙𝑖−𝒙0(8)

導出

点 𝒙0 は剛体上にあるので、 𝒙0 と「任意の質点要素 𝒙𝑖 」との距離 |𝒙𝑖−𝒙0| も一定になる。よって、拘束条件(2)にこれを加えてもよい: |𝒙𝑖−𝒙𝑗|=const.|𝒙𝑖−𝒙0|=const.} 「これらの式を辺々2乗したもの」に式(8)(を 𝒙𝑖=[⋯] の形に変形したもの)を代入して 𝒙𝑖,𝒙𝑗 を消去すると、それぞれ (𝒙𝑖⁢0−𝒙𝑗⁢0)T⁢(𝒙𝑖⁢0−𝒙𝑗⁢0)=const.𝒙T𝑖⁢0⁢𝒙𝑖⁢0=const.} となる。第1式の左辺を展開したときに現れる 𝒙T𝑖⁢0⁢𝒙𝑖⁢0,𝒙T𝑗⁢0⁢𝒙𝑗⁢0 は第2式により定数なので、第1式は 𝒙T𝑖⁢0⁢𝒙𝑗⁢0=const. で置き換えてよい。よって、式(7)と等価であることが分かる。 ◼

10.1.2自由度を減らしたい

式(6)は全部で9成分あるが、その取り方にはかなり任意性がある。実際、式(5)の [⋯] が逆行列を持ちさえすれば、どの点を取っても、同式の 𝒙𝑖⁢0 は同じになる。そこで、どこまで自由度を減らせるのかを考えてみよう。やることは簡単である。式(5)から 𝒙𝑖⁢0 を求めるのに必要な、最小の自由度を見つければよい。

𝒙𝑖⁢0 を決めるのに必要な量:回転行列 𝑅

実際にやってみよう。まず、式(5)を、時刻 𝑡 をあらわに書いておく:(最右辺は 𝑡=0 での値) ⎡⎢ ⎢ ⎢⎣𝒙T10𝒙T20𝒙T30⎤⎥ ⎥ ⎥⎦⁢𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡)=const.=⎡⎢ ⎢ ⎢⎣𝒙T10⁡(0)𝒙T20⁡(0)𝒙T30⁡(0)⎤⎥ ⎥ ⎥⎦⁢𝒙𝑖⁢0⁡(0) [⋯] の逆行列を左乗すれば、 𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡) が決まる: 𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡)=⎡⎢ ⎢ ⎢⎣𝒙T10𝒙T20𝒙T30⎤⎥ ⎥ ⎥⎦−1⁢⎡⎢ ⎢ ⎢⎣𝒙T10⁡(0)𝒙T20⁡(0)𝒙T30⁡(0)⎤⎥ ⎥ ⎥⎦⏟____⏟____⏟≡𝑅⁡(𝑡)⁢𝒙𝑖⁢0⁡(0)∴𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡)=𝑅⁡(𝑡)⁢𝒙𝑖⁢0⁡(0)(9) この 3×3 行列 𝑅⁡(𝑡) さえ分かれば、式(9)により全ての 𝑖 に対して 𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡) が、(初期値 𝒙𝑖⁢0⁡(0) のもとで)決まることになる。 𝑅 を回転行列という。

回転行列 𝑅 の拘束条件:式(10)

剛体の回転は、回転行列 𝑅 で表されることが分かった。この 𝑅 が自由な座標であればよいのだが、そうではなく、 𝑅 にはまだ拘束条件が残っている。実際、式(9)を拘束条件(7)に代入して得られる 𝒙T𝑖⁢0⁡(𝑡)⁢𝒙𝑗⁢0⁡(𝑡)=𝒙T𝑖⁢0⁡(0)⁢𝑅T⁡(𝑡)⁢⁢𝑅⁡(𝑡)⁢𝒙𝑗⁢0⁡(0)⏟_____⏟_____⏟≡𝐴⁡(𝑡)=const.=𝒙T𝑖⁢0⁡(0)⁢𝒙𝑗⁢0⁡(0)⏟__⏟__⏟𝐴⁡(0) において、全ての 𝑖,𝑗 に対して 𝐴⁡(𝑡)=𝐴⁡(0) が成り立つための必要十分条件は、以下である: 𝑅T⁢𝑅=1(10) 右辺の 1 は単位行列。数学的には、この式(10)が、回転行列の定義である(以下の【10.1-注3】)。

回転行列 𝑅 の自由度( =3 )

式(10)は 3×3 行列の方程式なので、 9 個の拘束条件がかかっているように見える。しかし、左辺は、 𝑅 の値によらず自動的に対称行列( 𝐴=𝐴T を満たす行列)となるため、左辺の「右上三角部分の3成分」と「左下三角部分の3成分」の値は自動的に等しい。よって、独立な条件は 6 個のみである。よって、この条件の数を引いた 9−6=3 が、 𝑅 の自由度となる。予告この 3 つの自由度に対応する自由な座標を取りたい、と考えたくなるだろう。しかし、以下の10.3節で述べるように、 𝑅 の自由な座標には、自然なものが存在しない(自由な座標自体は存在する)。

【10.1-注2】回転行列

以下の条件 𝑅T⁢𝑅=1(11) を満たす行列 𝑅 を、回転行列という。

補足

A回転行列の例

例えば、 𝑧 軸周りに 𝜃 だけ回転させる回転行列 𝑅𝑧⁡(𝜃) は、以下のようになる: 𝑅𝑧⁡(𝜃)=⎡⎢ ⎢⎣cos⁡𝜃−sin⁡𝜃0sin⁡𝜃−cos⁡𝜃0001⎤⎥ ⎥⎦(12) 任意のベクトル 𝒙 に対して回転を施したもの 𝒙′ が、 𝒙′=𝑅⁢𝒙 で得られるわけである。

B内積を変えない

式(11)は、「あらゆるベクトル 𝒙,𝒚 の内積が、 𝑅 を作用によって変化しない」という条件とみなすこともできる。実際、 𝑅 が作用したベクトルを 𝒙′≡𝑅⁢𝒙 などと書くことにすると、明らかに以下が成り立つ 𝑅T⁢𝑅=1⁢⟺⁢𝒙′⁢T⁢𝒚′≡𝒙T⁢𝑅T⁢𝑅⁢𝒚=𝒙T⁢𝒚 任意のベクトルの内積を変えない(=任意のベクトルの大きさと相対角度を変えない)ような線形変換は、式(11)のみということであり、直感的にも、回転を表しそうである。

C反転を含む

式(11)の両辺の行列式をとると、 det⁡𝑅=±1 が得られる。特に、 det⁡𝑅=−1 となる場合、例えば 𝑅=⎡⎢ ⎢⎣10001000−1⎤⎥ ⎥⎦ は、回転だけでなく反転を含む。単位行列の行列式は +1 なので、そこから det⁡𝑅=−1 に到達するには不連続な変換が必要になることから分かる。よって厳密には、回転行列とは、式(11)と det⁡𝑅=+1 を満たす行列である。直交行列式(11)だけを満たす行列は、直交行列というのが正式である。この名称が示すように、行ベクトル同士(または列ベクトル同士)が正規直交基底をなす。

10.1.3剛体の「座標」:式(13)

以上により、剛体の配置(位置・姿勢)を決めるには、以下の2つの量を与えればよいことが分かった: 剛体上の一点𝒙0⁡(𝑡)回転行列𝑅⁡(𝑡)}(13) 実際、任意の質点要素の位置 𝒙𝑖⁡(𝑡) は、以下のように決まる: 𝒙𝑖⁡(𝑡)=𝒙0⁡(𝑡)+𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡)∵𝒙𝑖⁢0≡𝒙𝑖−𝒙0=𝒙0⁡(𝑡)+𝑅⁡(𝑡)⁢𝒙𝑖⁢0⁡(0)∵式(9)=𝒙0⁡(𝑡)+𝑅⁡(𝑡)⁢(𝒙𝑖⁡(0)−𝒙0⁡(0))(14) 前述のとおり、回転行列 𝑅⁡(𝑡) の自由度は3なので、 𝒙0⁡(𝑡) の3つと合わせて、剛体の自由度は6である。これは以下の【10.1-注3】のように解釈できる。次章では、式(13)を未知数とするような運動方程式を実際に導く。

【10.1-注3】剛体の 6 の自由度の解釈

剛体の自由な座標が6自由度であることは、右図のように地球儀を例にとって考えることで推測できる。まず、地球の中心位置の取り方として平行移動の 3 自由度が見つかる(右図左)。その後、地軸の周りに任意の角度回転させることができるので、 +1 自由度(同図右の青矢印)。最後に、地球の中心を固定したまま地軸を倒していくことで、地軸を任意の方向に傾けることができるので、さらに +2 自由度(同図右の赤・緑矢印)。よって、平行移動の3自由度と回転の3自由度、合わせて 6 自由度となる。

10.2剛体の「速度」

前節までの議論により、質点要素の数だけ無数に存在していた変数を、有限個の変数(13)にまで落とし込むことができた。これで、剛体の「座標」を表せるようになったので、次は、剛体の「速度」である。

回転行列 𝑅 の「速度」を確認したい

「速度」は「座標」の時間微分である。ただし、回転行列 𝑅 には、まだ拘束条件(10)が残っているので、速度 ˙𝑅 として任意の値をとることはできない。この節では、剛体の「速度」としてどのような量を与えればよいのかを確認する。結論から言うと、 𝑅 の「自由な速度」は角速度ベクトル 𝝎 である(式(19))。

10.2.1回転行列 𝑅 の自由な速度:式(16)の 𝑎,𝑏,𝑐

まず、回転行列 𝑅 の速度 ˙𝑅 に対する拘束条件を得るには、拘束条件(10) 𝑅T⁢𝑅=1 の時間微分を取ればよい。

拘束条件の微分:式(15)

ここでは、積の順序を交換した 𝑅⁢𝑅T=1 の微分を考えることにする: 𝑑𝑑⁢𝑡⁢(𝑅⁢𝑅T)=˙𝑅⁢𝑅T+𝑅⁢˙𝑅T=0∴˙𝑅⁢𝑅T+(˙𝑅⁢𝑅T)T=0(15) 一般に 𝐴⁢𝐵=1 ならば 𝐵⁢𝐴=1 なので積の順序を交換してよい。交換したのは、上式の赤字部分が後の式(17)に現れるようにするためである。

𝑅 の自由な速度:式(16)

上式(15)より、赤字部分は反対称行列( 𝐴T=−𝐴 となる行列)である。このような行列は、3つの数 𝑎,𝑏,𝑐 により ˙𝑅⁢𝑅T=⎡⎢ ⎢⎣−0−𝑎𝑏−𝑎−0𝑐−𝑏−𝑐0⎤⎥ ⎥⎦(16) と書ける。 𝑎,𝑏,𝑐 は、任意の値をとれるため、自由な速度になっている。

10.2.2 𝑎,𝑏,𝑐 は角速度ベクトル 𝝎 の成分:式(19)

自由な速度は見つかったわけだが、この式(16)はどのような物理的(幾何学的)意味を持っているのだろうか。

相対座標 𝒙𝑖⁢0 の1次近似:式(17)

速度に関する量なので、時刻 𝑡+𝛿⁢𝑡 における相対座標 𝒙𝑖⁢0⁢(𝑡+𝛿⁢𝑡) の1次近似を考えればよいはずである。式(9)より:(時刻を明示していない量は 𝑡 での値) 𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡+𝛿⁢𝑡)=𝑅⁢(𝑡+𝛿⁢𝑡)⁢𝒙𝑖⁢0⁡(0)⁢⁢∣1次近似:𝑅⁢(𝑡+𝛿⁢𝑡)≐𝑅+˙𝑅⋅𝛿⁢𝑡≐(𝑅+˙𝑅⋅𝛿⁢𝑡)⁢𝒙𝑖⁢0⁡(0)⁢⁢∣1=𝑅T⁢𝑅を(⋯)の右に挿入して𝑅をくくりだす=(1+˙𝑅⁢𝑅T⋅𝛿⁢𝑡)⁢𝑅⁢𝒙𝑖⁢0⁡(0)⁢⁢∣式(9)=(1+˙𝑅⁢𝑅T⋅𝛿⁢𝑡)⁢𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡)(17) (⋯) 部分は、 𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡) を 𝒙𝑖⁢0⁢(𝑡+𝛿⁢𝑡) に変化させる行列、即ち、 𝛿⁢𝑡 の間における微小回転を表す行列である。この行列の 𝛿⁢𝑡 の係数が、ちょうど式(16)になっている。

微小回転の公式との対比:式(20)

ところで一般に、単位ベクトル 𝒆=⎡⎢ ⎢⎣𝑒1𝑒2𝑒3⎤⎥ ⎥⎦ の周りに微小角度 𝛿⁢𝜃 だけ右ねじ回転するような回転行列 𝑅⁡(𝒆,𝛿⁢𝜃) は、1次近似の範囲で以下のように書ける:(以下の【10.2-注1】の式(22)) 𝑅⁡(𝒆,𝛿⁢𝜃)≐1+𝛿⁢𝜃⋅𝒆×𝒆×≡⎡⎢ ⎢⎣−0−𝑒3−𝑒2−𝑒3−0−𝑒1−𝑒2−𝑒1−0⎤⎥ ⎥⎦(18) これを、式(17)の (⋯) 部分と見比べると、あるベクトル 𝝎 を 𝝎×=˙𝑅⁢𝑅T(19) となるように定義したくなる。そうすれば、式(17)は 𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡+𝛿⁢𝑡)≐(1+𝛿⁢𝑡⋅𝝎×)⁢𝒙𝑖⁢0⁡(𝑡)(20) となり、 (⋯) 部分が式(18)と同じ形になる。

回転行列 𝑅 の自由な速度:角速度 𝝎

よって、式(20)の (⋯) 部分は、「 𝝎 方向を軸として角度 |𝝎|⁢𝛿⁢𝑡 だけ右ねじ回転」させるような回転行列を表している。要するに、 𝝎 は、回転軸の方向を向き、大きさが右ねじ回転の速さになるベクトルということである。 𝝎 を角速度(または角速度ベクトル)という。このように直感的にも分かりやすい意味を持つ 𝝎 を、自由な速度として使うのが自然だろう。

剛体の自由な速度

以上により、剛体の自由な速度は、「剛体上の基準点の速度 ˙𝒙0 」と「角速度 𝝎 」である。任意の質点要素の速度 ˙𝒙𝑖 をこれらを用いて表すには、式(14)を時間微分すればよく、以下のようになる:(全ての量は時刻 𝑡 でのもの) ˙𝒙𝑖=˙𝒙0+𝝎×(𝒙𝑖−𝒙0)

【10.2-注1】ロドリゲスの回転公式

「単位ベクトル 𝒆 を軸とし、角度 𝜃 だけ右ねじ方向に回す回転」(右下図)を表す回転行列 𝑅⁡(𝒆,𝜃) は 𝑅⁡(𝒆,𝜃)=𝒆⁢𝒆T+cos⁡𝜃⋅(1−𝒆⁢𝒆T)+sin⁡𝜃⋅𝒆×(21) となる(=ロドリゲスの回転公式)。微小回転 𝜃 が微小量 𝛿⁢𝜃 である場合、 cos⁡𝛿⁢𝜃≐1,sin⁡𝛿⁢𝜃≐𝛿⁢𝜃 と1次近似できるので、 𝑅⁡(𝒆,𝛿⁢𝜃)≐1+𝛿⁢𝜃⋅𝒆×(22) となる。

ベクトルのクロス: 𝒆×

𝒆× は以下の【10.2-注2】で定義される「ベクトルのクロス」である。

右ねじ方向

右ねじ方向とは、右図のように、右手の親指を 𝒆 方向に向けた時に、残りの4本の指が曲がる方向をプラスと定義する向きをいう。

図解

2次元の回転

図解するために、まず、2次元の場合を考える。この場合、2次元のベクトル 𝒙 を反時計回りに 𝜃 だけ回転させる回転行列 𝑅 は、以下のようになる(=式(12)の 𝑥,𝑦 部分): 𝑅=[cos⁡𝜃−sin⁡𝜃sin⁡𝜃−cos⁡𝜃] 回転後のベクトル 𝑅⁢𝒙 は、右上図のように、赤軸と緑軸の成分に分解できる: 𝑅⁢𝒙=cos⁡𝜃⋅𝒙+sin⁡𝜃⋅[0−11−0]⁢𝒙(23)

ロドリゲスの回転公式の図解

次に、3次元の場合である。 𝑅⁢𝒙 は、式(21)を正射影行列 𝑃∥,𝑃⟂ (第4章の【4.1-注1】)を用いて以下のように書き換えられる: 𝑅⁢𝒙=𝑃∥⁢𝒙+cos⁡𝜃⋅𝑃⟂⁢𝒙+sin⁡𝜃⋅𝒆×𝒙𝑃∥≡𝒆⁢𝒆T𝑃⟂≡1−𝒆⁢𝒆T 右辺の3項は、右図のように互いに垂直な3軸上へ分解したものになる。 𝒆 と平行な成分 𝑃∥⁢𝒙 は回転角 𝜃 に依存しない。一方、 𝒆 と垂直な成分は右ねじ方向に 𝜃 だけ回転することになるが、これは平面的な回転であり、2次元の場合(23)と同じ形になっている。なお、 𝒆×𝒙 の方向については以下の【10.2-注2】参照。

【10.2-注2】ベクトルのクロスとクロス積

ベクトルのクロス: 𝒂×

3次元ベクトル 𝒂 から作られる以下の反対称行列 𝒂× : 𝒂×=⎡⎢ ⎢⎣−0−𝑎3−𝑎2−𝑎3−0−𝑎1−𝑎2−𝑎1−0⎤⎥ ⎥⎦(24) をベクトル 𝒂 のクロスという。逆に、任意の3次元反対称行列は 𝒂× の形でかける。

ベクトルのクロス積: 𝒂×𝒃

クロス 𝒂× と任意のベクトル 𝒃 との積: 𝒂×𝒃≡⎡⎢ ⎢⎣𝑎2⁢𝑏3−𝑎3⁢𝑏2𝑎3⁢𝑏1−𝑎1⁢𝑏3𝑎1⁢𝑏2−𝑎2⁢𝑏1⎤⎥ ⎥⎦(25) をクロス積という。このベクトルの大きさ・向きは以下の通りである: 大きさ=𝒂,𝒃が作る平行四辺形の面積向き=𝒂,𝒃両方に垂直}(26) 向きは2方向あり得るが、(座標系が右手系の場合)右上図のようになる(右手の規則)。本サイトでは、 𝒂×𝒃 を、常に 𝒂× と 𝒃 の積とみなすことにする。例えば、 𝒂×𝒃×𝒄 は (𝒂×)⁢(𝒃×)⁢𝒄 と解釈する( (𝒂×𝒃)×𝒄 ではない)。また、クロス積のことを外積ともいうが本サイトでは使わない。右手系・左手系 右手系とは、右図のように、 𝑥 軸方向に向けた右手の4本の指を、 𝑦 軸方向に向けて曲げた時に、親指が向く方向が 𝑧 軸方向となる系である。(要するに通常の座標系である。逆に、 𝑧 軸の向きが反対になるのが左手系である。)

クロス積の公式

クロス積の有用な公式として、反対称性(=ベクトルの入れ替えで符号が変わること): 𝒃×𝒂=−𝒂×𝒃(27) および、2つの連続するクロスを消去する簡約公式がある: 𝒂×𝒃×=𝒃⁢𝒂T−𝒂T⁢𝒃(𝒂×𝒃)×=𝒃⁢𝒂T−𝒂⁢𝒃T(28)(29)

証明

クロス積の性質(26)の証明

まず、大きさについては直接計算できる: |𝒂×𝒃|2=(𝒂×𝒃)T⁢(𝒂×𝒃)=(−𝒃T⁢𝒂×)⁢(𝒂×⁢𝒃)∵[(𝒂×)⁢𝒃]T=𝒃T⁢(𝒂×)T=|𝒂|2⁢𝒃T⁢(1−ˆ𝒂⁢ˆ𝒂T)⁢𝒃∵式(28):⁢𝒂×𝒂×=𝒂⁢𝒂T−|𝒂|2=|𝒂|2⁢|𝒃⟂|2∵(⋯) は 𝒂 と垂直な面への正射影 向きについては、式(25)から 𝒂,𝒃 と垂直であることがまず分かる(内積が 0 になる)。次に、 𝑥 軸, 𝑦 軸方向の単位ベクトル 𝒆𝑥,𝒆𝑦 のクロス積は 𝒆𝑥×𝒆𝑦=𝒆𝑧 となり、右手の規則を満たすことに着目する。 𝒂,𝒃 として 𝒂=𝒆𝑥 および 𝒃=𝒆𝑦 から始めて、連続的に任意の値に変化させることを考えると、その途中で 𝒂,𝒃 が平行になったり 𝟎 になったりしないようにできるので、右手の規則が成り立ち続けることが分かる。 ◼

クロス積の公式(27), (28), (29)の証明

式(27): 𝒃×𝒂=−𝒂×𝒃

クロス積の定義式(25)より明らかである。 ◼

式(28): 𝒂×𝒃×=𝒃⁢𝒂T−𝒂T⁢𝒃

クロスの定義(24)に代入すれば得られる: ◼ 𝒂×𝒃×=⎡⎢ ⎢⎣−0−𝑎3−𝑎2−𝑎3−0−𝑎1−𝑎2−𝑎1−0⎤⎥ ⎥⎦⁢⎡⎢ ⎢⎣−0−𝑏3−𝑏2−𝑏3−0−𝑏1−𝑏2−𝑏1−0⎤⎥ ⎥⎦=⎡⎢ ⎢⎣−𝑎2⁢𝑏2−𝑎3⁢𝑏3𝑎2⁢𝑏1𝑎3⁢𝑏1𝑎1⁢𝑏2−𝑎3⁢𝑏3−𝑎1⁢𝑏1𝑎3⁢𝑏2𝑎1⁢𝑏3𝑎2⁢𝑏3−𝑎1⁢𝑏1−𝑎2⁢𝑏2⎤⎥ ⎥⎦=𝒃⁢𝒂T−𝒂T⁢𝒃⁢⎡⎢ ⎢⎣111⎤⎥ ⎥⎦

式(29): (𝒂×𝒃)×=𝒃⁢𝒂T−𝒂⁢𝒃T

式(27)と式(28)を組み合わせればよい: ◼ (𝒂×𝒃)×⁢𝒄=−𝒄×⁢(𝒂×⁢𝒃)∵()×𝒄=−𝒄×()=−(𝒂⁢𝒄T−𝒄T⁢𝒂)⁢𝒃∵𝒄×𝒂×=𝒂⁢𝒄T−𝒄T⁢𝒂=−(𝒂⁢𝒃T−𝒃⁢𝒂T)⁢𝒄∵𝒄を括り出した

10.3参考回転の自由な座標

回転運動の「自由な速度」として角速度 𝝎 (式(19))が得られたので、これをもとに「自由な座標」 𝜽 が得られないだろうか。この節では、それが不可能であることを示す。ただし、自由な座標自体は存在するので、その例として、オイラー角と角度ベクトルを紹介する。

10.3.1 ˙𝜽=𝝎 を満たす自由な座標 𝜽 は、存在しない

回転の自然な座標 𝜽

剛体の回転は回転行列 𝑅 で書けるものの、 𝑅 には拘束条件(11)がかかっており、自由な座標になっていない。一方、回転の速度については、自由な速度として角速度 𝝎 という自然なものが存在していた。ということは、 𝝎 をもとに、自然な回転の座標 𝜽 が得られないだろうか。即ち、もし ˙𝜽=𝝎(30) (質点における速度 ˙𝒙 と座標 𝒙 の関係と同様に)座標 𝜽 を微分したものが速度 𝝎 になる。となるような 𝜽 が存在すれば、それが最も自然な 𝜽 だと考えられる。

自然な 𝜽 は存在しない

しかし、以下の【10.3-注1】のように、式(30)を満たす 𝜽 は存在しない。ただし、自由な座標 𝜽 自体が存在しないことを意味しているわけではない。実際、次の10.3.2節で自由な座標の具体例を与える。

【10.3-注1】角速度 𝝎 は、自由な座標 𝜽 の微分で書けない

回転行列 𝑅 に対する自由な座標の1つを 𝜽 とおく: 𝑅⁡(𝜽) 。この時、どのように 𝜽 をとったとしても、角速度 𝝎 と ˙𝜽 を常に一致させることはできない。

証明

背理法で示す。

1 𝑅 の偏微分:式(32)

もし、 𝝎=˙𝜽 となるのであれば、これを 𝝎 の定義式(19)に代入して ˙𝑅=˙𝜽×𝑅(31) が得られる。即ち、 𝑅 を 𝜃𝑖 で偏微分したものは以下のようになる: 𝜕𝜕𝜃𝑖⁢𝑅=𝒆𝑖×𝑅(32) 𝒆𝑖 は 𝑖 成分のみが 1 でそれ以外が 0 のベクトル。導出式(31)の両辺に 𝛿⁢𝑡 を掛けて1次近似の形にすればよい: 𝛿⁢𝑡⁢˙𝑅≐𝛿⁢𝑅≐𝛿⁢𝜽×𝑅⁢⁢∣ ∣ ∣ ∣ ∣自明な関係式 𝛿⁢𝜽=∑𝑖𝛿⁢𝜃𝑖⁢𝒆𝑖 を代入して、𝛿⁢𝜃𝑖 を括り出す=∑𝑖(𝒆𝑖×𝑅)⁢𝛿⁢𝜃𝑖 微分の定義により、 𝛿⁢𝜃𝑖 の係数が 𝜕𝜕𝜃𝑖⁢𝑅 である。

2偏微分の可換性から矛盾を導く

さて、第7章の【7.3-注1】で述べたように、偏微分は一般に可換である(証明は第15章の15.1節)。しかし、式(32)はこれと矛盾する。例えば 𝜃1,𝜃2 での微分を式(32)により計算すると: 𝜕𝜕𝜃2⁢𝜕𝜕𝜃1⁢𝑅=⎡⎢ ⎢⎣100⎤⎥ ⎥⎦×⁢⎡⎢ ⎢⎣010⎤⎥ ⎥⎦×𝑅=⎡⎢ ⎢⎣000100000⎤⎥ ⎥⎦⁢𝑅∵簡約公式(28)≠𝜕𝜕𝜃1⁢𝜕𝜕𝜃2⁢𝑅=⎡⎢ ⎢⎣010⎤⎥ ⎥⎦×⎡⎢ ⎢⎣100⎤⎥ ⎥⎦×𝑅=⎡⎢ ⎢⎣010000000⎤⎥ ⎥⎦⁢𝑅 となり一致しない。よって、当初の仮定 𝝎=˙𝜽 は成立しない。 ◼

10.3.2参考自由な座標の例

以上のように、角速度 𝝎 から自由な座標 𝜽 が導けることを期待したが、そうではなかった。一方で、( ˙𝜽=𝝎 を満たさないような) 𝜽 は知られているので、ここでは、そのような 𝜽 の例として、オイラー角(以下の【10.3-注2】)と回転ベクトル(以下の【10.3-注3】)を紹介する。

【10.3-注2】オイラー角 𝜽

まず、 𝑥,𝑧 軸周りに 𝜃 だけ右ねじ回転する回転行列それぞれ 𝑅𝑥,𝑅𝑧 は、以下のように書ける: 𝑅𝑥⁡(𝜃)=⎡⎢ ⎢⎣1000cos⁡𝜃−sin⁡𝜃0sin⁡𝜃−cos⁡𝜃⎤⎥ ⎥⎦,𝑅𝑧⁡(𝜃)=⎡⎢ ⎢⎣cos⁡𝜃−sin⁡𝜃0sin⁡𝜃−cos⁡𝜃0001⎤⎥ ⎥⎦ 任意の回転行列 𝑅 は、オイラー角と呼ばれる3つのパラメータ 𝜽=[𝜃1𝜃2𝜃3]T を用いて、以下のように書けることが知られている: 𝑅⁡(𝜽)=𝑅𝑧⁡(𝜃3)⋅𝑅𝑥⁡(𝜃2)⋅𝑅𝑧⁡(𝜃1)(33) これの意味するところは、まず 𝑧 軸周りに 𝜃1 だけ回転させ、つぎに 𝑥 軸周りに 𝜃2 、最後に再び 𝑧 軸周りに 𝜃3 だけ回転させるということである。今は回転軸を 𝑧-𝑥-𝑧 の順でとっているが、 𝑥-𝑦-𝑧 など任意性がある。

角速度との関係

オイラー角の微分 ˙𝜽 と角速度 𝝎 の関係式を導くには、式(19) 𝝎×=˙𝑅⁢𝑅T の右辺に式(33)を代入して、両辺を比較すればよく、以下のようになる: 𝝎=⎡⎢ ⎢⎣−sin⁡𝜃2⁢sin⁡𝜃3cos⁡𝜃30−sin⁡𝜃2⁢cos⁡𝜃3sin⁡𝜃30cos⁡𝜃201⎤⎥ ⎥⎦⁢˙𝜽(34) ジンバルロックなお、 sin⁡𝜃2=0 の時、この行列の第1列と第3列が平行になって、逆行列を持たなくなってしまう。そのため、特定の 𝝎 に対して、上式を満たす ˙𝜽 が存在しなくなる(ジンバルロックという)。要するに、オイラー角は任意の回転行列 𝑅 を表すことができるが、その微分 ˙𝑅 (即ち 𝝎 )については表現できない場合があるわけである。そのため、ジンバルロックが発生しそうになったら、回転軸を取り換えるといった対策が必要となる。

【10.3-注3】回転ベクトル 𝜽

任意の回転行列 𝑅 は、「回転軸」と「その周りの回転角度」で表すことができる。具体的には、回転ベクトル 𝜽 を、「向きが回転軸方向、大きさが右ねじ方向の回転角度」となるように定義すると、 𝑅 は、以下のように書ける: 𝑅⁡(𝜽)=ˆ𝜽⁢ˆ𝜽T+cos⁡|𝜽|⋅(1−ˆ𝜽⁢ˆ𝜽T)+sin⁡|𝜽|⋅ˆ𝜽× 【10.2-注1】のロドリゲスの回転公式(21)と同じものである。

角速度との関係

回転ベクトルの微分 ˙𝜽 と角速度 𝝎 との関係式は、以下のようになる:(式(34)の導出と同様) 𝝎=[ˆ𝜽⁢ˆ𝜽T+sin⁡|𝜽||𝜽|⁢(1−ˆ𝜽⁢ˆ𝜽T)+1−cos⁡|𝜽||𝜽|⁢ˆ𝜽×]⁢˙𝜽 特に、回転軸が固定されている場合、即ち ˙𝜽∥𝜽 の場合には、右辺第1項のみが残り 𝝎=˙𝜽 となる。