統計力学編 第4章

カノニカル表示

状態数の代わりに、分配関数(11)から得られるマシュー関数(16)を用いて熱力学量を計算すると、簡単になることが多い。統計平均についても、カノニカル表示(22)を使うと計算が簡単になることが多い。

エントロピーの相加性が露わになるように、状態数を書き換えたい。

式(1)が成り立つことを露わに示すように、状態数 Ω を書き換えたい

前章で見たように、2つの容器を熱接触させている系では、全体の状態数は Ω(12) 、各容器の状態数 Ω(1),Ω(2) の積になる: Ω(12)𝐸Ω(1)𝐸1Ω(2)𝐸2(1) 前章ではこれを素直に認めてエントロピーの議論につなげたが、この式はかなり非自明な式である。実際、これを Ω(1) について解くと Ω(1)𝐸1Ω(12)𝐸Ω(2)𝐸2(2) となり、左辺は容器1だけの量なので、右辺は分数は容器2の性質によらないことになる。これは面白い性質である。これが成り立つことが明らかなように状態数を書き換えたい。これを、状態数のカノニカル表示と呼ぶことにする(結論から言うと式(10))

この章では、式(1)が成り立つようにカノニカル表示を予想し、その後それを正当化する。 4.1:状態数のカノニカル表示(予想)4.2:状態数のカノニカル表示4.3:マシュー関数から熱力学量が計算できる4.4:統計平均のカノニカル表示

4.1状態数のカノニカル表示(予想)

この節では、(エントロピー総加性を露わにする表示である)状態数のカノニカル表示が、式(5)で表されるのではないかという予想を立てる。これが正しいことは次節で示す。

4.1.1状態数 Ω のカノニカル表示の予想:式(5)

式(2)において、右辺から容器2に関する量を消去したい。まず、右辺分母の Ω(2)𝐸2 を消去するために、分子の Ω(12)𝐸 から Ω(2)𝐸2 を括り出す:(1) は容器1の相空間上での積分を表す) Ω(12)𝐸=𝐻<𝐸1=(1)𝐻1<𝐸Ω(2)𝐸𝐻1∣ ∣ ∣ ∣ ∣以下の【4.1-1】よりΩ(2)𝐸𝐻1=exp[𝐸𝐻1𝜖=𝐸2𝛽(2)𝜖]Ω(2)𝐸2=(1)𝐻1<𝐸exp[𝐸𝐻1𝜖=𝐸2𝛽(2)𝜖]Ω(2)𝐸2 これを式(2)の右辺の分子に代入すると Ω(1)𝐸1(1)𝐻1<𝐸1+𝐸2exp[𝐸2+𝐸1𝐻1𝜖=𝐸2𝛽(2)𝜖](3) となる𝐸=𝐸1+𝐸2 を代入して 𝐸 を消した)

この式(3)が容器2の性質によらずに成り立つわけである。この式の右辺にはまだ容器2の量 𝐸2,𝛽(2)𝜖 が残っている。これらが消えるとしたらどうなるだろうか。もっとも単純なのは 𝐸2かつ𝛽(2)𝜖=𝛽(4) 𝛽 は平衡状態での逆温度)である: Ω(1)𝐸1?(1)𝐻1exp[𝛽(𝐸1𝐻1)] 条件(4)は、少なくとも容器2を非常に大きくすれば成立しそうである。容器1の量しか登場しなくなったので、添え字を落とすと Ω𝐸?𝐻𝑒𝛽𝐸(𝐸𝐻)Ω?𝐸(5) となる。 𝐻 という記号は以下の略記である: 𝐻𝑓(𝐻)=𝒙𝒑𝑓(𝐻𝒙𝒑)

【4.1-注1】状態数 Ω の公式

エネルギー 𝐸 における状態数 Ω𝐸 と逆温度 𝛽𝐸 は、微分方程式 ˙Ω𝐸=𝛽𝐸Ω𝐸(6) を満たす。この解は、任意のエネルギー 𝐸0 での状態数 Ω𝐸0 を用いて、以下のように書ける: Ω𝐸=exp[𝐸𝜖=𝐸0𝛽𝜖]Ω𝐸0(7)

導出

まず逆温度 𝛽 と状態数 Ω の関係式は、前章で見たように 𝛽𝐸=˙Ω𝐸Ω𝐸 であり、これは式(6)そのものである。

式(6)は、もし 𝛽𝐸 が定数であれば、見慣れた指数関数の微分方程式である。定数でない場合でも解くことができて、与式(7)になる。実際、与式(7)は初期値 𝐸=𝐸0 で成り立つので、後は式(6)を満たすことを言えばよいが、実際に代入してみればすぐ分かる。

4.1.2式(5)が成り立てば、式(2)も成り立つ

この式(5) Ω𝐸Ω?𝐸 が成り立てば、式(2)も成り立つことが言える: Ω(12)𝐸𝐻𝑒𝛽𝐸(𝐸𝐻)=𝐻1+𝐻2𝑒𝛽𝐸(𝐸1+𝐸2𝐻1+𝐻2)=𝐻1𝐻2𝑒𝛽(1)𝐸1(𝐸1𝐻1)𝑒𝛽(2)𝐸2(𝐸2𝐻2)Ω(1)𝐸1Ω(2)𝐸2 𝐸1,𝐸2 は、 𝐸1+𝐸2=𝐸 かつ 𝛽(1)𝐸1=𝛽(2)𝐸2 で定義され、必ず存在する。)よって、確かにもっともらしい。そこで、次節で式(5)が成り立つことを示す。

4.2状態数のカノニカル表示

この節では、式(5)が実際に成り立つことを示す。

4.2.1状態数 Ω の公式:式(9)

示したいのは、式(5) Ω𝐸Ω?𝐸 である。式(3)の導出時と同様に、 Ω?𝐸 から Ω𝐸 を括り出すことを考える: Ω?𝐸𝐻𝑒𝛽𝐸(𝐸𝐻)=𝜖=0˙Ω𝜖𝑒𝛽𝐸(𝐸𝜖)∣ ∣ ∣ ∣ ∣˙Ω𝜖=𝛽𝜖Ω𝜖=𝛽𝜖exp[𝜖𝜎=𝐸𝛽𝜎]Ω𝐸=𝜖=0𝛽𝜖exp[𝜖𝜎=𝐸𝛽𝜎+𝛽𝐸(𝐸𝜖)]Ω𝐸=𝜖=0𝛽𝜖exp[𝜖𝜎=𝐸(𝛽𝜎𝛽𝐸)]____________𝐼𝐸Ω𝐸=𝐼𝐸Ω𝐸Ω𝐸=1𝐼𝐸𝐻𝑒𝛽𝐸(𝐸𝐻)(8) 式(5)に近い式が出てきた。後は、係数の 𝐼𝐸 を計算すればよい: 𝐼𝐸𝜖=0𝛽𝜖exp[𝜖𝜎=𝐸(𝛽𝜎𝛽𝐸)]∣ ∣ ∣ ∣ ∣ ∣ ∣𝛽は単調減少関数なので指数部分[]はマイナスである(𝜎=𝐸の場合のみ0)。𝛽1020程度なのでexp[]𝜎=𝐸に非常に鋭いピークを持つ。よって、以下の置き換えを行ってよい:𝛽𝜖𝛽𝐸𝛽𝜎𝛽𝐸+˙𝛽𝐸(𝜎𝐸)𝛽𝐸𝜖=0exp[˙𝛽𝐸𝜖𝜎=𝐸(𝜎𝐸)]∣ ∣ ∣ ∣𝜖𝜎=𝐸(𝜎𝐸)=12(𝜖𝐸)2=𝛽𝐸𝜖=0exp[˙𝛽𝐸2(𝜖𝐸)2]∣ ∣ ∣ ∣ ∣ガウス積分公式𝜖=exp[|𝛼|2𝜖2]=2𝜋|𝛼|を使う。˙𝛽𝐸<0に注意。𝛽𝐸√ √ √2𝜋˙𝛽𝐸∣ ∣ ∣ ∣˙𝛽𝐸=𝜕𝜕𝐸1𝑘𝑇𝐸=˙𝑇𝑘𝑇2𝐸=2𝜋𝑘˙𝑇𝐸 (途中でデルタ関数で近似できることを用いた。この考え方は後の【4.4-注1】の導出でも使う。)これを式(8)に代入すると、最終的に Ω𝐸𝑘˙𝑇𝐸2𝜋𝐻𝑒𝛽𝐸(𝐸𝐻)(9) が得られる。式(5)とは、 の部分だけ異なるが、この値は 𝑘log を作用させると無視できる大きさなので、式(5):(再掲) Ω𝐸𝑒𝛽𝐸𝐸𝑍𝛽𝐸𝑍𝛽𝐻𝑒𝛽𝐻(分配関数)(10)(11) も成り立つ。式(10)を、状態数のカノニカル表示と呼ぶことにする(一般的ではない)Ω𝐸 において、肝となる積分部分 𝑍𝛽 を分配関数という。

カノニカル表示(10)は、式(2)とは無関係に導いたものなので、複数の容器が熱的に接触している系でなくても、容器が1つだけの系でも成り立つ(式(2)は式(5)を予想する際に使用しただけ)

4.2.2温度関数 𝑇𝐸 を求めるには分配関数 𝑍𝛽 を使う:式(14)

カノニカル表示の状態数(10)を求めるには、分配関数 𝑍𝛽 を求めればよいわけだが、これは相空間全体の積分になっており、計算が容易である(状態数を使った元の定義ではエネルギー 𝐸 以下の領域に限定していた)。特に理想気体のように、分子間の相互作用が無視できる場合には、1分子の積分の積になる。

とはいえ、式(10)には、 𝛽𝐸 が登場するので、エネルギー 𝐸 と温度 𝑇 の関係式が分かっている必要がある。分配関数 𝑍𝛽 からこれを求めることができる。エントロピー 𝑆𝐸 の微分 ˙𝑆𝐸=1𝑇(12) を使えばよい。まず、状態数(10)からエントロピー 𝑆𝐸 を求めると(ギブスの修正因子 𝑁! を含めて) 𝑆𝐸=𝑘logΩ𝐸𝑁!=𝑘log𝑒𝛽𝐸𝐸𝑍𝛽𝐸𝑁!=𝐸𝑇𝐸+𝑘log𝑍𝛽𝐸𝑁!(13) 後は、式(12)の左辺に式(13)を代入すると(見やすさのため引数添え字 𝐸 は省略して) (左辺)=˙𝑆=1𝑇+𝑘˙𝛽𝐸+𝑘𝜕𝜕𝐸log𝑍∣ ∣ ∣ ∣𝜕𝜕𝐸log𝑍=𝜕𝛽𝜕𝐸𝜕𝜕𝛽log𝑍=1𝑇+𝑘˙𝛽(𝐸+𝜕𝜕𝛽log𝑍)=(右辺)=1𝑇 よって、 () 部分がゼロとなる: 𝐸=𝜕𝜕𝛽log𝑍𝛽=𝐻𝐻𝑒𝛽𝐻𝐻𝑒𝛽𝐻(14)(15)

よって、分配関数 𝑍𝛽 さえ求めれば、 𝐸𝛽 が求まるので、その逆関数 𝛽𝐸 が求まり、式(13)からエントロピー 𝑆𝐸 も求まる。即ち、分配関数(11)は、エントロピーと同じ情報を持っていることになる。

4.3マシュー関数から熱力学量が計算できる

分配関数がエントロピーと同じ情報を持っていることが分かった。それならばエントロピーを経由せずとも、分配関数から直接、圧力などの熱力学量を直接導けるはずである。

そのためにまず、状態数 Ω からエントロピー 𝑆𝑆𝐸𝑉𝑁=𝑘logΩ𝐸𝑉𝑁𝑁! で定義したように、分配関数 𝑍 からマシュー関数と呼ばれる量 ΨΨ𝛽𝑉𝑁log𝑍𝛽𝑉𝑁𝑁!(マシュー関数)(16) によって定義する。(ギブスの修正因子 𝑁! を含めて書いた。エントロピーと同様に、ハミルトニアンに粒子交換対称性がある場合に必要。)

この節では、このマシュー関数 Ψ𝛽𝑉𝑁 から直接、熱力学量を導く。

4.3.1マシュー関数から熱力学量を求める:式(19)

エントロピー 𝑆𝐸𝑉𝑁 の場合、熱力学量 𝑇,𝑃,𝜇 (それぞれ温度、圧力、化学ポテンシャル)は、 𝑆𝐸𝑉𝑁 の全微分から得られた: 𝛿𝑆𝐸𝑉𝑁1𝑇𝛿𝐸+𝑃𝑇𝛿𝑉𝜇𝑇𝛿𝑁(17) 同様に、マシュー関数 Ψ𝛽𝑉𝑁 の微分を考えても熱力学量が得られるはずである。

そのためにまず、エントロピー 𝑆𝐸𝐸𝑉 とマシュー関数 Ψ𝛽𝑉𝑁 の関係式を求めると(ギブスの修正因子 𝑁! を含めて) 𝑆𝐸𝑉𝑁=𝑘logΩ𝐸𝑉𝑁𝑁!=𝑘log𝑒𝛽𝐸𝑍𝛽𝑉𝑁𝑁!=𝑘𝛽𝐸+𝑘log𝑍𝛽𝑉𝑁𝑁!Ψ𝛽𝑉𝑁=𝑘𝛽𝐸+𝑘Ψ𝛽𝑉𝑁(18) となる。あとは、両辺の全微分を取ればよい: 𝛿𝑆𝐸𝑉𝑁=𝛿(𝑘𝛽𝐸+𝑘Ψ𝛽𝑉𝑁)=1𝑇𝛿𝐸+𝑘𝐸𝛿𝛽+𝑘𝛿Ψ𝛽𝑉𝑁 左辺に式(17)を代入して、 𝛿Ψ𝛽𝑉𝑁 を左辺に移せば、最終的に以下を得る: 𝛿Ψ𝛽𝑉𝑁𝐸𝛿𝛽+𝛽𝑃𝛿𝑉𝛽𝜇𝛿𝑁(19) よって、分配関数からマシュー関数(16) Ψ𝛽𝑉𝑁 を計算すれば、この式によって熱力学量 𝑇,𝑃,𝜇 の関数形が求まる。

例えば、単原子理想気体の場合、以下の【4.3-注1】のようになる。

【4.3-注1】単原子理想気体のマシュー関数

単原子理想気体のマシュー関数は Ψ𝛽𝑉𝑁=𝑁log[𝑉𝑁(2𝜋𝑚𝛽)3/2]+𝑁 である。

エネルギー 𝐸𝑇𝑉𝑁 と状態方程式 𝑃𝑇𝑉𝑁 を求めてみると 𝐸𝑇𝑉𝑁=Ψ˙𝛽𝑉𝑁=32𝑁𝑘𝑇𝑃𝑇𝑉𝑁=1𝛽Ψ𝛽˙𝑉𝑁=𝑁𝑘𝑇𝑉 となり正しい値になる。またエントロピー(18)は 𝑆𝐸𝑉𝑁=𝐸𝑇+𝑘Ψ𝛽𝑉𝑁=𝑁𝑘log[𝑉𝑁(4𝜋𝑚𝐸3𝑁)3/2]+52𝑁𝑘 となり、第3章の【3.2-注1】の結果に一致する。

導出

分配関数は 𝑍𝛽𝑉𝑁=𝑒𝛽𝐻=𝑉𝑁𝑒𝛽(𝒑12++𝒑𝑁2)/2𝑚=𝑉𝑁[𝑝=𝑒(𝛽/2𝑚)𝑝2]3𝑁∣ ∣ ∣ ∣ ∣ ∣ガウス積分の公式:𝑝=𝑒𝑎𝑝2=𝜋𝑎において𝑎=𝛽2𝑚とする=𝑉𝑁(2𝜋𝑚𝛽)3𝑁/2 よって、マシュー関数(16)は Ψ𝛽𝑉𝑁=log𝑍𝛽𝑉𝑁𝑁!𝑁log[𝑉𝑁(2𝜋𝑚𝛽)3/2]+𝑁

このように、状態数の積分よりも、分配関数の積分のほうが容易に計算できることが分かる。特に、この場合のように、粒子間の相互作用がない場合、分配関数はべき乗の形になる。

4.4統計平均のカノニカル表示

統計平均もカノニカル表示できないだろうか。第2章で述べた様に、エネルギー 𝐸 における物理量 𝑄 の統計平均 𝑄𝐸 は、相空間におけるエネルギー 𝐸 を持つ状態の平均値である: 𝑄𝐸=𝒙𝒑𝛿𝐻𝒙𝒑𝐸𝑄𝒙𝒑𝐻𝛿𝐻𝐸(20) 一方、式(15)を見ると、 𝑄𝐸?=𝒙𝒑𝑄𝒙𝒑𝑒𝛽𝐸𝐻𝒙𝒑𝐻𝑒𝛽𝐸𝐻(21) と書けることが予想される。確かに、分子の積分に寄与するのは、 𝐻=𝐸 付近の被積分関数だけなので、もっともらしい。

この節では、式(21)が正しことを示す。

4.4.1統計平均のカノニカル表示:式(22)

そのために、式(8)の場合と同様に、分子 𝒙𝒑𝑄𝒙𝒑𝑒𝛽𝐸𝐻𝒙𝒑 から式(20)の 𝑄𝐸 を括り出すことを考える: 𝒙𝒑𝑄𝒙𝒑𝑒𝛽𝐸𝐻𝒙𝒑=𝜖=0𝒙,𝒑𝛿𝐻𝒙𝒑𝜖𝑄𝒙𝒑𝑒𝛽𝐸𝜖=𝜖=0𝑄𝜖𝐻𝛿𝐻𝜖𝑒𝛽𝐸𝜖=𝐻𝑄𝐻𝑒𝛽𝐸𝐻=𝜖=0𝑄𝜖𝛽𝜖Ω𝜖𝑒𝛽𝐸𝜖以下の【4.4-1】より=1𝛼𝐸𝜖=0𝑄𝜖𝛽𝜖𝛿𝐸𝜖𝛽𝐸𝛼𝐸𝑄𝐸 一方、式(21)の分母はこの式で 𝑄=1 としたものである: 𝐻𝑒𝛽𝐸𝐻𝛽𝐸𝛼𝐸 よって、式(21)の統計平均のカノニカル表現は正しい: 𝑄𝐸𝒙𝒑𝑄𝒙𝒑𝑒𝛽𝐸𝐻𝒙𝒑𝐻𝑒𝛽𝐸𝐻(22) 式(20)に比べると、全体積分になっているので、計算しやすそうである。分母は分配関数(11)になっている。

【4.4-注1】デルタ関数の近似公式

適当な関数 Ω𝐸 に対し、 𝛽𝐸,Δ𝐸𝛽𝐸=˙Ω𝐸Ω𝐸Δ𝐸\apprge6˙𝛽𝐸 となるように定義する。 𝛽𝐸 は、「単調減少」かつ「 𝐸±Δ𝐸 の範囲で1次近似がよく成り立つ」とする。

この時、以下で定義される関数 𝛿𝐸𝜖𝛿𝐸𝜖𝛼𝐸Ω𝜖𝑒𝛽𝐸𝜖,𝛼𝐸˙𝛽𝐸2𝜋𝑒𝛽𝐸𝐸Ω𝐸 はデルタ関数とみなせる。即ち、変化が緩やかな(= 𝐸±Δ𝐸 の範囲での変化が測定誤差の範囲で無視できる)任意の量 𝑄𝐸 に対し 𝜖=0𝛿𝐸𝜖𝑄𝜖𝑄𝐸(23) が成り立つ。

導出

関数 𝛿𝐸𝜖 を変形していく: 𝛿𝐸𝜖=˙𝛽𝐸2𝜋exp[𝛽𝐸(𝐸𝜖)]Ω𝐸Ω𝜖∣ ∣ ∣ ∣ ∣ ∣Ω𝜖=exp[𝐸𝜎=𝐸𝛽𝜎]Ω𝐸𝛽𝐸(𝐸𝜖)=𝐸𝜎=𝜖𝛽𝐸=˙𝛽𝐸2𝜋exp[𝜖𝜎=𝐸(𝛽𝜎𝛽𝐸)]𝛽𝜎𝛽𝐸+˙𝛽𝐸(𝜎𝐸)+𝑜(𝜎𝐸)=˙𝛽𝐸2𝜋exp[˙𝛽𝐸2(𝜖𝐸)2+𝜖𝜎=𝐸𝑜(𝜎𝐸)] ここで、 𝛽𝐸 は、単調減少かつ 𝐸±Δ𝐸 の範囲で1次近似でできるので、 𝑜(𝜎𝐸) 部分は無視できて、ガウス関数とみなせる。𝐸±Δ𝐸 の範囲ではこの部分は効いてこないし、その外ではガウス関数の性質により 𝛿𝐸𝜖0 となる。)よって、 ˙𝛽𝐸 の極限で、 𝛿𝐸𝜖 はデルタ関数として振る舞う。ただし、式(23)を考える上では、そのような極限を取らずとも、 𝑄𝐸 の変化が緩やかなので、 𝛿𝐸𝜖 をデルタ関数のように扱ってよい。